連載 #28 「春霞む山のふもと」

昨年と同じく、緊急事態宣言発令中の兵庫県。すこしでも楽しいことが増やせないかな、と頭を巡らせています。

写真家からみえる景色 | bitokurashi

写真で日常を切り取る、びとくらし 「びとくらし」サイトトップのメイン写真をご提供いただいている、嵐祥子さん。 写真家ならではの視点や、景色の切り取り方、毎日の暮らしぶりを写真と文章で伝えいただきます。 写真で日常を切り取る、びとくらし 「びとくらし」サイトトップのメイン写真をご提供いただいている、嵐祥子さん。 写真家ならではの視点や、景色の切り取り方、毎日の暮らしぶりを写真と文章で伝えいただきます。 「春霞む山のふもと」 日の出の時刻が早くなり、すっかり明るくなった朝の景色。 窓から見える春山の姿が、よく見えるようになりました。 花ぐもりのころ、山肌のあちこちに見えていた薄もも色の木は、新年度前後であわただしくしているあいだに、あれよあれよと緑色になっていきました。 その山のふもと、わたしの住む街には長い長い坂があり、それを上りきったところにスーパーがあります。 普段はなかなか買い物に出向く気分にならないところなのですが、良い気候なのと、近所のスーパーで買うよりもワインがお買い得なのとで、運動がてら久しぶりに行ってみようかと思い立ちました。 ハイキングの装い、大きめのリュックを背負い、スニーカーを履き、靴ひもをきゅっと締め出発しました。 あらためてGoogle mapで調べてみると、距離は約1300メートル。 春の景色を楽しみながら歩けたらなと、山に近く、最短距離で行くよりもすこしゆるやかな傾斜の、まわり道を選びました。 からりと晴れた日の午前中。 ウォーキングをしている人たちが、カメラを持ってゆっくり進むわたしをサッと追い越していく姿が気持ち良く、そのスピードに引っ張られそうになりながらも、マイペースを保ち歩いて行きました。 いつも利用している路線バスがエンジン音とともに軽快に走り去って行き、その後ろ姿を何本か見送りながら「もし疲れたらバスに乗って帰ろう」と、心のお守りにしました。 幹線道路沿いの歩道と並行するように、舗装されていない遊歩道がありました。 植物たちそれぞれの自生が活かされた素朴な道ですが、木陰が多く、風で葉と葉がすれる音や鳥たちの声がおだやかに流れ、とても歩きやすく感じました。 あとで調べてみると、森林ボランティアさんがお手入れされ、地元だけでなく遠方のかたにも安心して楽しんでもらえるよう、定期的に整備をされているとのことでした。

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嵐 祥子 | Arashi Shoko

フリーランスWebライター兼フォトグラファー、嵐祥子のサイトです。 同名で、写真作品も制作しています。